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「ぁぁ・・・」
今までの息苦しさから開放された蘭世の唇から、吐息のような声が上がる。
その切なげな声が俊を誘う。
その苦しげな息が俊をとりこにする。
・・・もっと・・・だ・・・
もっと、自分を感じて、自分以外の誰も求めないで欲しい。
危うげな独占欲が俊をかきたて・・・勢い蘭世を責め立ててしまう。
どれだけ自分を与えても、与えたりないほどの想いを今までもらってきたのだから。
そして、まだ求める。
心も身体も、自分以外誰も彼も、自分の腕の中に彼女を閉じ込めたいほど。
俊はつながったまま蘭世を抱き上げると、胡坐をかいた上にそのまま座らせる。
「ぁぁぁ!!」
ずんとさらに奥まで届く感覚に蘭世の全身が痺れていく・・・・。
限界まで足を開かれ、その中心部、つながったままのそこに俊の手が触れる。
潤ったその部分をまるで確認するかのように指先が蠢きながら、敏感な部分を捕らえる。
「あん!!・・」
思わず今までにないほど甘い声を上げてしまう、蘭世に俊は取り付かれたようにそこを責める。
くちゅりといやらしい水音。
ぬめる感触が指先で広げられていく・・・。
「は・・ぁぁん・・んん・・・あ・・・」
動きに合わせて蜜があふれ、そこがひくついて俊の分身に絡み付いてくる。
すでに蘭世は正気などなく、ただただ、俊によって快楽の只中に叩き込まれているだけ。
全身が俊の動きだけに翻弄されている。
それでいて、俊を包み込むそこだけは別の意思を持った何かのように蠢いて俊を包んでいく・・・。
どれだけでも高みへ向かおうとする二人のために。
「ふ・・ぁぁ・・・ぁ・・・ん・・・・んん・・・・!!・・」
あえぎが途絶えることなく俊の耳を直撃する。
・・も・・もたねぇ・・・・
変わっていく蘭世の声に、身体に、すべてに俊は自身のリミッターをはずす。
全身を駆け抜けていく快感と共に、白濁した樹液を放出した・・・。
重いカーテンの隙間から光が差し込んで、二人のベッドを照らす。
素肌で抱き合ったまま眠っている二人はまるで天使の休息時間のようにも見える。
どこからか漂う、かぐわしいコーヒーの香り。
俊は目を開けた。
・・ん・・どこから・・・・
そう思ったとき部屋に大きなノックの音が響いた。
慌てて隅っこに投げた部屋着を着込むと、まだ、半ば失神している蘭世にブランケットをかけドアへと向かう。
「はい?」
「朝食だよ。」
聞き覚えのある声。
・・・?・・・
「誰だ?」
「僕たちだよ。」
・・僕たち・・?・・
俊はドアを開ける。
アロンとフィラが立っていた。
「はい、どうぞ。」
にこやかにフィラがバスケットを差し出す。
「蘭世さん・・・はまだ起きていないでしょう?」
「?・・・ああ・・・」
なんだか腑に落ちない。
「そりゃぁ・・・」
「ねぇ・・・」
魔界の王夫妻は意味ありげに微笑みあう。
俊はアロンにすごむ。
「・・なにか・・・やったのか・・?」
涼しげな瞳で
「いや、別に。」
そういいつつ・・・
「ただ・・・いい香だっただろう?」
「香・・?・・」
いわれてみれば、なにか香りはあったような気がする・・・。
「あれはね、王家の人間にのみ使用が許されているものでね。」
「・・?・・・」
フィラが頬を染める。
そしてアロンが俊に耳打ちした。 |